はじめに

ここでは私のもう一つの研究の柱である、多発性外骨腫症(MHE)について解説します。この病気は小さいときから数回〜十数回におよぶ手術を経験される患者さんも少なくなく、手術される側、手術する側にとっても大変な思いをする疾患です。私がアメリカでの研究の成果として、この疾患のモデルマウス作成に成功しました。そんな関係もあって、現在日本へ帰国後も、この疾患の手術以外の治療法の発見に日夜励んでいます。

MHEの患者さんだけでなく、多くの方々がこの疾患について理解していただき、ご協力してくださることを願っています。

多発性遺伝性外骨腫症

(MHE; Multiple Hereditary Exostoses)

多発性遺伝性外骨腫(MHE)の特徴的な臨床症状は、主に長管骨の端にできる多発性の骨腫瘍(外骨腫)である。この疾患は、骨腫瘍以外に、骨の変形、変形性関節症、側弯症(そくわんしょう)、低身長、早期の骨粗鬆症など多彩な臨床症状を示す。

原因遺伝子として、ヘパラン硫酸を合成する酵素であるEXT1(もしくはEXT2)の遺伝子変異にて発症すると言われている。しかし、未だにこの遺伝子異常が、どうして骨腫瘍を引き起こすのか?どうしてそれ以外の骨の異常を引き起こすのか?ということはすべてが明らかになっていない。

本疾患は大部分が遺伝であり、遺伝形式は常染色体優性遺伝の形式をとる。患者の子供には50%の確率で遺伝することになる。

 

また、多発性外骨腫に対し単発性の外骨腫症がある。通常、家族歴はないが、多発性同様原因は不明である。組織学的には多発性、単発性ともに相違はない。




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