MHEの臨床診断は以下の所見(身体所見、レントゲン検査)により確定する。
1、多発性の外骨腫症
長管骨の骨幹端、扁平骨に発生する多発性の外骨腫。
2、上肢、下肢の変形
尺骨の短縮と前腕骨の弓状変形を認める。
3、腫瘍の圧迫による症状
腫瘍が末梢神経や脊髄を圧迫することによって、疼痛、感覚異常、運動障害が見られることがある。関節近傍にできた外骨腫は、周辺にある筋肉や腱を刺激することにより、関節の可動域制限や運動障害を呈することがある。
また、骨盤内にできた外骨腫はしばしば発見が遅れ、稀に尿路や腸管の閉塞を来すことがある。
4、腫瘍の悪性化
MHEの重大な合併症の一つに外骨腫の肉腫化(ガン化)があげられる。頻度は報告によれば1〜2%程度とされている。悪性化は小児や思春期でも起こりうるがリスクは年齢とともに増加する。
臨床症状では、特に成人では、腫瘍が急速に増大し疼痛が増したら外骨腫の肉腫への変化を疑う。骨盤内の腫瘍の悪性化は、しばしば発見が遅れるため注意が必要である。
5、その他の特徴
その他に低身長、脊椎側弯症、早期の変形性関節症があげられる。また、明らかな神経圧迫症状がないにも関わらず、原因不明の痛み(Neuropathic Pain)を訴える患者が存在する。原因は未だ不明である。
MHEは常染色体優性遺伝であり、現在までに3つの遺伝子の変異にて発生することが報告されている。その3つとは、
である。MHE患者の多くはEXT1の変異にて発症し、この頻度が約60〜70%、次いでEXT2が30〜40%と言われている。患者の中にはEXT1もしくはEXT2に変異が発見されず、遺伝子変異が不明の場合がある。
これまでの研究で、日本人の場合、EXT1, EXT2の遺伝子変異が発見される割合は70%程度と言われており、他の遺伝子異常が本疾患の発生に関与している可能性がある。